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☆  あい らぶ    LAB   ☆

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チビタ、ありがとう

平成22年6月24日木曜日


朝いつものように散歩に行くかと聞けば「やめとくわ」と言うチビタ。

キンタの散歩を終えて帰ってくる。

ご飯を食べなくなってこれで3日目。水だけは飲んでいる。

いつものようにクルクル歩き回っているうちに一度転んで倒れた。

手足をばたつかせて必死に起きようとするが

手足が天を向いているので頑張っても起き上がれない。

思わず駆け寄り、抱きかかえて『チビタ大丈夫だよ~大丈夫』と言い
落ち着かせる。

自分でも何が起きたかわからない様子。



ダーリンが出張中なので、私はそのまま自分の事務所に連れて行った。

玄関先でベッドを作り寝かせる。

相変わらず、何も食べない。

水だけは少し飲もうとしている。

午後になり、イビキをかきながらよく寝る。

15分ほど出かけて戻るとベッドから少し離れたところで

倒れていた。慌てて抱き起こし

『大丈夫だよ、大丈夫、ごめんね、目を離して』

何分間こんな風に倒れていたのだろう、

ごめんね、チビタ、ホントにごめん。





唇が渇いているので注射器で何度か口を濡らしてやる。

何回かに一度は自分でゴクゴクっと飲むようになった。

ありがとう、飲んでくれて。



あとはぐったりと横になっているばかり。

時々しっかりと抱っこしてやる。

甘えたように私に身を預ける。

あとどれくらいこうして居られるのだろう。



水を飲んでくれるのならば、カロリーエースならどうだろう。

前みたいに、何度も復活し続けてきたチビタだから

今回も復活してくれるかもしれない。

水の代わりに注射器でカロリーエースを与えようか。



そんなことを考えながらも今回はもう無理かもしれないという
思いが私の中にあった。

私が諦めたら終わる・・・・諦めたらチビタはこのまま終わってしまう。

でも・・・・・。

何度も何度も復活してきたその生命力もここまでか。




チビタに問うてみる。

チビタ、どうしたい?どうしてほしい?今、かーちゃんに何ができる?






とーちゃんが東京から帰りつくのが夜中の12時くらいになるとメールが入った。

本当なら昨日帰ってきているはずが一日延びた。




チビタ、とーちゃんが帰ってくるまで頑張ろうね。

あと4時間。かーちゃんがついてるよ。

何度か口唇を水で濡らしてやる。

ねぇ、チビタ、起き上がらない方が良いかな。

このまま横たわっている方が楽かな?


私のアイフォンのiPodにはこの一年間ずーーーーっと聴き続けている
曲がいっぱい入っている。

『やさしい時間』『北のガーデン』『明日』

どれも去年、北海道に行く前からずっと聞いている曲たちだ。

小さな音でそれをチビタに聴かせてやる。

なんだかチビタの顔つきが変わってきたように思えるのは私の思いすごしだろうか。





姉さん、痛みはないですか?

体を反対側に向けましょうか?

口は乾いてないですか?





とーちゃんが帰ってくるまで頑張ろうね。

あと2時間。

長い・・・・長すぎる。

とーちゃんが帰ってくるまでチビタが頑張れるかどうか

とっても不安になった午後10時でした。





ねぇ、チビタ、どうしようか。

ここでしばらくかーちゃんと一緒に居る?

それともキンタのところに行こうか。

キンタのお散歩はバウ君がやってくれたそうだから

このままかーちゃんと一緒にここに居ることはできるよ。

それともキンタと一緒にとーちゃんを待つ?

どうしようか。

チビタ・・・・・車での移動はきついかな。

ふたりだったら、かーちゃんが抱っこしたまま移動できるのにね。





弱っていくチビタを見ながら

『泣いちゃいけない、泣くとチビタが不安になるから泣いちゃいけない』

そう思いながらも、かーちゃんは泣くのを止められなかったよ。

この15年間を思い出して、チビタといろいろ話をした。





チビタ、ありがとうね。

うちの子になってくれてありがとうね。

ゴンちゃんの妹で、キンタの姉御として、そして今はあさり隊の隊長として

キンタの指導を立派にしてくれました。

おかげでキンタはあんなによい子のままで年を重ねているよ。




何度も何度も奇跡の復活を遂げて

本当にこの子の生命力はどんなだろう、いつも励まされた。

大きな病気が見つかって

でも治療をしないと決めたとーちゃんとかーちゃんに

りっぱに復活劇を見せてくれましたね、何度も何度も。

ありがとう。






チビタ、あと1時間だよ。

1時間でとーちゃん帰ってくるよ。

もう少し頑張ろうね。

ずっと抱っこしてあげるから。頑張るんだよ。





とーちゃんが、かーちゃんの事務所ではなくて

キンタのいる会社に戻ってくることになり

私はチビタをキンタのところまで連れて行くことになった。

『チビタ、今からおうちに帰るよ、頑張れる?』






とーちゃんも帰ってくる。

キンタも待っている。

『さぁ、チビタのおうちに帰ろう』





チビタを助手席に乗せて

ゆっくりゆっくり・・・・ゆっくりゆっくり車を走らせる。

チビタ、もう少しだからね、頑張ろうね。

あと500メートルほどのところで

チビタが暴れ出した。

自分のホームだとわかったからかな。

車を止めてチビタを抱きかかえる。

大丈夫、大丈夫、チビタ大丈夫だよ、ここに居るよ。

ほぉら、いつもこのあたりをテクテク散歩したね。

懐かしいね。よく歩いたね。

大丈夫だよ、かーちゃんはここに居るよ。





神様、ゴンタがすぐそこまでチビタのことを迎えに来ているのなら

お願いです、どうかチビタを苦しませずに連れて行って下さい。

この優しい顔のままでどうか・・・・





車も通らない田舎の道で良かった。

チビタを抱っこしたまま、歩くほどのスピードで車を進めた。

チビタは私にしがみついたままでいる。

チビタ、ほら、もう少し。キンタも待ってるよ。

よく頑張ったね。

そろそろとーちゃんもここに着くよ。

よく頑張った、ありがとう、チビタ、よく頑張ったね。





チビタを抱っこしたままいつもの散歩道を歩く。

ほら、いつもの散歩道だよ。わかるよね。

今日は月も星もきれいだね。

チビタもお星様になるのかな。







とーちゃんが帰ってきた。

良かった・・・・間に合ってほんとに良かった。

チビタ、とーちゃんのことをちゃんと待ってたね。

偉い偉い、すごいよ、チビタ。





会社の玄関にベッドを作って寝かせた。

とーちゃんと一緒に帰ってきた社員さんも次々に

チビタを励ましに来てくれた。





キンタが、横たわるチビタの体の下に鼻を押しこんで

『姉ちゃん、何寝てんだよ、起きろよ、遊ぼうよ』

と必死にチビタを起こそうとする。

キンタ・・・・わかってるよね。

チビタはもう起きられないの、わかってるよね。

そんなキンタの姿にとーちゃんもかーちゃんも涙がとまらない。





キンタはキンタなりに思うことがあるのだろう。

キンタがうちに来たのはチビタが5歳のときで

ゴンタとチビタの兄妹の末っ子としてやってきてから

ずーーーーーーーっと毎日一緒だったもんね。




何度も何度も鼻先でチビタを起こそうとするキンタ。

ありがと、キンタ。

でももう・・・姉さんをそっとしてあげてね。




私は思った。

もしかしたら、このまま、チビタは朝まで頑張ってくれるかもしれない。

こんなに弱っているけれど、もしかしたら最後の最後に

また素晴らしい復活劇を見せてくれるかもしれない。

かたときも目は離せないので、自宅に連れて帰ることにしようと思った。







そのとき。

突然、チビタが起き上がろうとしたので、無理とは分かっていたが

抱っこして駐車場の広いところで支えながら立たせた。

立てないくらい弱っているチビタが

歩くことなんて無理なチビタが

突然歩き出した、いつものように、くるくると。

直径4メートル位、いつもの3倍くらいのスピードで

とにかく回る回る回る回る。



すごいっ、すごいね、姉さん。

あなたのどこにこんな力が残っていたのでしょう。

最後の力を振り絞って、私たちに見せてくれたのですね。

すごい、本当にすごいよ。

とーちゃんと、かーちゃんは、あなたの底力に

ただただ感動してました。

ありがとう、チビタ。




そして、パタッと倒れました。



とにかく一旦自宅に連れて帰ることにした。

居間にベッドを作って寝かせる。

時折悲しい声を上げるチビタ。

少しだけ苦しいかな。

でも大丈夫だよ、とーちゃんもかーちゃんも居る。

私が四肢を持ち、肉球をマッサージしてやる。

とーちゃんはずっとチビタの頭をなでている。

ありがとう、チビタ、良く頑張ったね、もういいよ。

本当によく頑張った。ありがとう。





午前2時10分、チビタ永眠。



とーちゃんが帰宅してから2時間後のことでした。

偉かったね、チビタ。




私はこの一日ずっとチビタと一緒に居た。

思えば二年前からずっとチビタとの別れの日に向かって生きていた。

いつかは来るその日。

少しずつ、すこーしずつ、チビタと別れまでの時間を

縮めながら過ごしてきた。

つまりそれはチビタと別れる準備の時間。

突然逝ってしまったように思えて

本当は2年前からその時を感じていた。



ありがとう。

心からそう思う。ありがとうね、チビタ。

よく頑張りました。


出来ることでしたら、これを読んでくださったみなさんからチビタに

「よく頑張ったね!」と拍手してやってください。

そして、あさり家のチビタ姉さんを時折思い出してください。





チビタ、また会えるね、きっと。

じゃあね。









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